「どうすればキスは上手くなりますか?」
という綾部喜八郎のその相談に、
「「ブッ」」
傍で聞いていた滝夜叉丸と三木ヱ門は思わず咳き込んだ。
当の相談をうけた本人、斉藤タカ丸は、
「うん?教えてあげよっかぁ」
と綾部の頬に手を宛がって、艶かしく目を細めて笑って見せた。
「「!?」」
「冗談w」
それを目の当たりにして茹で蛸のように赤面する滝夜叉丸と三木ヱ門に、
タカ丸はあっけからんと雰囲気を崩して笑いかけ、
それから別段取り乱したりしない綾部にも笑みを向ける。
「キスなんて回数やれば上手くなるよ。
愛があれば大丈夫。
あーでもやりすぎると怒られる、けど」
実体験をもとにしたような語り口に滝夜叉丸と三木ヱ門は苦笑し、
タカ丸もまた自暴自棄気味にけらけら笑った。
「…おやまぁ、何かあったんですか」
「聞いてくれる?」
「いえ、聞きたくはありませんが。全く」
綾部の口調は平淡でどこか不機嫌そうであるが、
それでもやはりタカ丸がめっそりとした様子を見れば、
どうせろくな話ではないだろうが聞いてあげるほかないと、思ってしまう。
「聞いてよ聞いてよー」と年甲斐もなく騒ぎ始めるタカ丸を見つめながら、
我ながら甘いなと綾部はひっそり内心で舌打した。
「…もぉ2日もちゅーしてないんだよぉ?
なんかもぉさぁ、いい加減、舌が疼く」
そう言って唇の間から見せたタカ丸の舌は、毒々しい真紅。
免疫のない2人はまたも赤面し、
ひとり綾部はやはりろくな話ではなかったなと、
鋤を持って立ち上がった。
(ああくそ、あの五年、落っことしてやりたい)
***
綾部が久々知気に入ってなければとてもおもしろいと思うよ、すいません。
4年が仲良しならばとても嬉しいです。
タカ丸はおにいちゃんだけど4年に可愛がられてるかんじ。
懐き懐かれ慕い慕われ。
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