「わ、戻った」
「っタカ丸!!」
「兵助く、ん!?ちょっ苦し…っ!」
飛びついてきた兵助の腕がきつく首を絞めるものだから、
タカ丸は思わずその背中を叩いて抵抗する。
ずいぶん熱烈な歓迎だけど、一体なにがあったのだろう。
「もうやだ何あれ何あいつ…!」
「あ、赤髪の俺いたんだやっぱり。どうだった?」
「性格悪いし、最悪っ!」
「うーん…ほんとにろくでなしだなぁその俺……、複雑」
タカ丸は苦笑しながら、首筋に埋まった同じように綺麗な黒髪をなだめるように優しく撫でる。
「…お前も違う俺のところに行ってたのか」
「うん!あっちの久々知くんね、落ち着いてて大人っぽくてかっこよかったよー」
「それは俺に対する嫌味?」
兵助は顔を上げて、ふてくされたように顔をしかめる。
多分、久々知くんならしないだろうなぁと思わせる表情だったが、
でももしかしたら、性悪の赤い髪の斉藤タカ丸ならできるのだろうかとぼんやり考えた。
小さく笑みがこぼれる。
「兵助くんはかわいいなぁー
どんな久々知兵助くんも俺は大好きだけど、
でもね、俺が愛してるのは兵助くんだけだよ」
「…知ってる」
「うん、知ってるよ」
呟いて俯いた頬がきっと赤いことも。
それは口にせず、心の内で呟いて、愛しさを感じて笑みを浮かべた。
タカ丸は兵助の柔らかく艶やかな髪を1束指先で弄りながら、
あぁそうそうと思い出したように言った。
その言葉に兵助は「なに?」と顔を上げる。
「ね、1つ聞きたいんだけど、
あっちの俺に何もされてない、」
よね、と言いかけたのだが、急に兵助がたどたどしく目線をそらすものだから、
タカ丸のその言葉は声にならず、代わりに大きく目が見開かれた。
「…何されたの、どこまでされたの。ねぇ」
「(目が笑ってない…!)」
「久々知くんから手ェ早いとは聞いてたけどっあいつなにやったの!?」
「や……あの、……接吻を……」
「嘘!?」
「いやっ不可抗力だし…っ!!」
「なにそれー!俺、でこちゅーしてないのに!?」
「…はあ!?お前もなにやってんだよ!!」
「兵助くん!あんなやつになにされてんのさ!」
「ちょっと待て!お前言ってること無茶苦茶だぞ!?お前もあっちで、」
「ああやだっ!消毒ーー!」
タカ丸が無理やり唇を奪う。
塞いだ口から「そんなに長くない」と途切れ途切れに兵助が呟いた言葉は、
生憎タカ丸には聞こえなかったのか、それともそう装われたのか。
とにかく、そう簡単には終わらなかった。
酸素不足を訴えて胸を叩く手を封じるように、タカ丸は兵助の背中を強く抱きしめる。
(もしいつかあの斉藤タカ丸に会ったら絶対シめてやる!)
***
金タカも理不尽!
斉藤タカ丸は基本自由人ですね、だってアイドル学年の一員ですもの!(何事)
ここまで読んでくださった方がいらっしゃったらなんか…すいません!orz
ありがとうございました^^
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