「わっ」
「お」
先ほどまで金髪のタカ丸が座ってた場所に、唐突に赤髪のいつもの姿が現れる。
「もう帰ってきたのか」
「…なんでつまんなそうなの、先輩」
怪訝な目でタカ丸が問うと、兵助はいや別にと空を見上げた。
少しは寂しがってくれてると思ったのに、とタカ丸は息をつく。
「よくわかんないけどさ、俺今まで違う久々知兵助先輩と一緒だったんだよ」
「さっきまでここにもいたぞ、斉藤タカ丸」
「え、金髪の?…へぇ、どんな感じだった?」
「可愛かったよ、お前と違って」
「それ兵助先輩にも言われたー」
「ふーん…あっちの俺は?」
「可愛かったよー先輩よりもからかい甲斐があって。
おかげで大っ嫌いだって言われちゃったけど」
「お前ほんと性格悪いな」
「知ってるでしょ?」
笑うと同時に、タカ丸は腕を伸ばして兵助を抱き寄せた。
腕の中に収められた兵助も背中に腕を回し、ぎゅっと抱き合う。
「なぁ…、」
(心変わりなんて、してないよな)
そんなことこの男には言わずとも分かるだろうから、
兵助は胸のうちだけでそっと問う。
背中に回した腕に力を込める。
胸元に顔を埋めているから見えないけれど、
兵助は確かにタカ丸が頭上で笑っているような気がした。
「兵助先輩は好きだよ。
あなたと同じ久々知兵助だから。
でも俺が惚れてるのは兵助、一人だけだよ」
まっすぐな声だった。
それがあの金髪の奥に見えた一途な目のタカ丸のものとやはり似ていて、
ああやはり基盤は同じ人間なんだろうなと思った。
それでも、
(俺が惚れてるのもお前だけだ)
声にするのは煩わしい。
そんなことしなくても知られているに決まっている。
兵助は胸元に額をあてて、小さく息をついた。
「…で、お前あっちの俺になにした?」
「……え?」
「お前が何もしないはずないしな」
「あはー…浮気じゃないよ?」
「いいからさっさと白状しろ」
「えっとね、接吻しちゃっ…痛い痛い!髪引っ張んないでよ!」
「自業自得だろ」
掴んだ長い前髪を引っ張って、強引に距離を詰めた。
奪った唇がそっと笑ったことには気付いたけれど、構わない。
兵助も同じように笑ってやった。
***
甘いのか甘くないのか分からない…orz(利吉/利吉大好き王様に怒られる←)
久々知先輩は赤タカが浮気したら刺すって言ってるけど、
たぶんできないだろうなーと思います。
そんな浮気小話も書きたい今日この頃です。
え、上で真面目なの書くとか言いました?
……でも、小話も書くと言いましたし!
すごく今思いついたネタだから急に書きたくなったとかいえないorz(利k略)
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