壁にもたれて横目で窓の外を確認しながら三郎は息をつく。
眼下にはなんとまぁ仲よく手を繋いで帰っていく馬鹿ップル。
(珍しくマジな修羅場っぽいしおもしろそうだし首つっこんどいたれ!
とか思った俺、マジ馬鹿だった!あん時の俺死ね!!
あんだけ泣いてやがったくせに理由超馬鹿みてぇだし、なんだもう!
しっかも帰る時、揃いも揃ってアホほど笑っていきやがってあいつら!
おもしろくねーくらいに円満解決じゃねーか!!)
三郎は思わず膝から倒れて崩れ落ち、床に手をついて項垂れた。
途端、どっと疲れがやってきた。
(ほんと、超迷惑…!)
タカ丸のやけ酒も付き合わされたことやろくに寝てないこともあり、
心身ともに疲労感、あと少しばかりの空腹感が三郎を襲う。
あまり二度寝が得意な体質じゃあないのは自分が一番知っているが、
不貞寝でもしてやろうかと半ば自棄気味にベットに倒れ込んだとき。
「ただいまー、けっこう早く帰ってこれたんだけどー…って、
ちょ、うっわなにこの部屋酒くっさ!なにやらかしたんだ三郎!」
「!!…らいぞ……っ!」
癒しの声、到来。
三郎はおもわずベットの上で上体を起こして、
大量のアルコール飲料の残骸にしかめっ面をうかべる雷蔵を見つめる。
(やべ、なんかもう、泣きそうなくらい嬉しい!)
「三郎!これちゃんとあとで片付け、」
「おかえりっ!!おかえり雷蔵!!」
「ちょ、なに!うわっ!」
唐突に腕を引っ張られて抱き寄せられた雷蔵は、見事バランスを崩した。
声をあげて三郎もろとも飛び込んだベットのスプリングがギシっと鳴る。
「い、いたた……、三郎なんだよ…」
三郎の胸の上に倒れた雷蔵は、恨めしそうに三郎を睨む。
しかし、その大きな眼にじっと見つめられるだけで、
たった一夜(無駄に長くはあったが)逢えなかっただけというのに、
「雷蔵、好き!あーもー好き!大好き!」
「ちょちょ、わ、どうしたの三郎」
自分の上で困惑している様子の雷蔵が最高に愛しく思えて、
三郎は腕をまわしてその身体をぎゅっと力いっぱい抱きしめた。
(同じアングルでも、雷蔵だからこうも愛しい、たまんない!)
「…なんかあったみたいだけど、」
「もうちょっと、充電、したら話す」
「…じゃあ充電終わったらそれより先にご飯食べよ。
僕もお腹減ってるし、三郎もでしょ?」
「んー」
「5分だけだからね」
「10分」
「…じゃあ10分」
許しを得ると、三郎は口元に笑みを浮かべた。
抱きしめながらも後ろ髪を弄る三郎が至極幸せそうで、
まったくなにがあっただか、(どうせろくでもないことだろうなあ、きっと)
と息をつきながら雷蔵は大人しく真下の胸に顔をうずめて、
妙にヨレヨレのTシャツを握りしめた。
***
タカ丸に乗られてもあまり動じない鉢屋、
でも雷蔵ならときめく鉢屋、これこそ鉢雷www
鉢タカフラグはあったとしてもたぶん、
タカ丸は久々知愛してるし鉢屋は雷蔵愛してるので、
フラグで終わる、なのに回収できないみたいなのが萌えるんだと思います、私。
どっちも大概バカッポー!
こんかいの功労賞受賞(バイ加宮さんw)の三郎、お疲れ様でした^^
三郎のうなだれてるときの体勢はまさにorzだったと思います…!
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