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引き続き赤タカです。
なんだか長くなりそうなフラグがギンギン…?
ここまでがすでに長かった…
4話目にしてやっと動き出した感があります。エー。
 
 
 
5時間目が始まる前の移動教室の途中。
広い廊下行き交う生徒たちがいくらでもいるのに、
俺には曲がり角の向こうからこっちを向いて歩いてくる4人組のなかにいる、
つきぬけた身長で目を引く赤い髪の男しか目に映らない。
今すぐにでも逃げ出したかった。
奴が転入してきて1週間。
いくらなんでも俺が卒業するまで一度もすれ違うことさえないことはありえないと思っていたけれど、
思った以上にあの男はあっさりとあっけなく、俺のまさに目の前に現れた。
人の気も、知らないで。


隣の三郎や雷蔵や八左ヱ門の会話も聞こえない。
もう自分の心臓の音しか聞こえない。
一歩歩くたびに距離が縮まる。
逃げたい、逃げてしまいたい。
だってこんなにすぐ、手を伸ばせば届くところに、いる、のに。


赤い髪の男は楽しそうに同級生と話していて、
浮かべる笑みが相変わらず上っ面だけはきれいで、
声はなにひとつ変わっていなくて夢のままで、
でもその声は俺を呼ぶことはないんだって思うと、
もういっそ、こんな男さっさと嫌いになってしまいたいと切に思う。
乱れる心臓を必死に押し殺しながら、
近づいてくる、すれ違う、その瞬間に俺は目を閉じた。




「久々知兵助先輩?」




白昼夢。
そう思ったのに不意に捕まれた手が、感覚がある。
驚いて目を開けてしまうと、目の前には俺に薄く笑みを浮かべる奴がいて。
視線が交わった。どうして。


「…やっぱり?
 俺、斉藤タカ丸っていうんですけど、まぁ、知ってるよね。
 はじめまして」


受ける視線と触れられた手で熱くなった心臓が、
「はじめまして」という言葉に急に凍てついた。
期待などしない。幻想など抱かない。
そう決めていたはずなのに。
視線は交わらない。二度と名前は呼ばれない。
そう決めつけていたのに。


「なん、で……?」
「同じ委員会になったみたいだからよろしくって、一応、言っておこうと思って。
 あと委員会どこでやるかわかんないから放課後連れて行ってよ、先輩」


どうして、先輩とまたその声で呼ぶ。
どうして、また俺の手に触れる。
どうして、俺の目を見る。
どうして、笑いかける。


もう兵助と呼ばないくせに。
もうなにも、覚えていないくせに!



「…触るな」


夢の中では必死で縋った手を振り払う。
俺が欲しいのはこんな生きた心地の手じゃない。
望むのは、灯火の消えかかったような冷え切った夢のなかの手だ。
違う、こいつは俺の愛した奴じゃない。
その手も声も目も赤い髪も全部違う、こんなの、いらない。



「お前なんて、嫌いだ」














***
久々知先輩はなんとなく、悲しませてみたくなる(ひ土井)
記憶のある久々知先輩はいろいろ複雑な心境だと思います。
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